対話の会の進め方

対話の会の流れ


申込みがあったからといって、いきなり対話の会を開いて相手方と対面するわけではありません。
まずは進行役が申込者や相手方に直接お会いして、十分に準備を行います。
この準備段階で、安全に対話の会が開催できると判断できた場合に対話の会を開きます。

①:メールまたはお電話にて、お申し込みください。

②:進行役が、対話の会に申し込んだ事情やニーズなどをお伺いします。

③:進行役が、相手方に会って、対話の会に参加する気持ちがあるか、また申込者のニーズを実現することができるかなどを確認します。

④:対話の会を安全に開催することができないと思われる場合、対話の会は開きません。
その場合も、進行役が間に入り、間接的な対話を進める場合があります。

⑤ : ①~③までの準備が整い、対話の会を安全に開催することができると判断した場合、対話の会を開催いたします。

 

まもるくんのケース

まもる君は学校の帰り道、恐喝の被害に遭いました。
加害者はゆきお君という少年で、金属バットをもってまもる君を脅し、財布を取り上げていきました。
とられたお金は返してもらえないんだろうか?
それ以来まもる君は、外に出るのが怖くなり、学校も休みがちになってしまいました。

1.対話の会への申し込み

まもる君は、あの事件以来、どうして僕がねらわれたんだろう?
とられたお金は返してもらえないんだろうか?と考えていました。
そんなある日、お父さんが対話の会に申し込んでみたらどうかと勧めてくれました。

まもる君は対話の会に自分の悩みを書いたメールを送りました。

2.進行役と申込者の面会

しばらくして、センターの山田さんから連絡がありました。
山田さんは進行役でした。
まもる君は山田さんと会って、事件のことやどうして対話の会に申し込んだのか話をしました。

山田「対話の会についてはどう思いますか?」
まもる「会ってみたい気もするけど、やっぱり、相手次第かな。」
山田「では、ゆきお君に連絡をとってみましょう。」

3.進行役と相手方の面会

山田さんはゆきお君に連絡をとり、ゆきお君と会って話をしました。
ゆきお君は、まもる君に悪いことをしたと思っているようでしたが、直接まもる君に会う勇気がないと言いました。

山田「せっかく謝りたい気持ちがあるのに、伝えずに終わっていいのかしら」
ゆきお「・・・お母さんと一緒に行っていい?」
山田「ええ、もちろんよ。」

ゆきお君は対話の会に参加することを決めました。
山田さんは、お互いの都合のつく日程、開催場所などを調整しました。
さあ、いよいよ対話の会が開かれます。

4.対話の会のはじまり

まもる君は、両親と一緒に対話の会に参加しました。
ゆきお君はお母さんと今働いている工場の社長さんと一緒に参加しました。
対話の会は、まず犯罪での体験や影響などを話すことから始まります。

山田「ゆきお君、事件のことや今の気持ちを話してくれますか?」
ゆきお「8月ころ、先輩にカンパ頼まれて、金がなくて、まもる君をバットで脅して財布をとりました。すみませんでした。」

ゆきお君のお母さん、社長さんが話し終えた後、山田さんはまもる君に声をかけました。
まもる「すごく怖くて、財布をわたしました。仕返しが怖くて、学校も休みがちで・・・」
まもる君のお母さん、お父さんもそれぞれの気持ちを話しました。

5.対話の会で質問する

山田「どなたからでも結構ですよ。聞きたいことはありますか?」
まもる「どうして僕をおそったの?何かねらう理由でもあったの?」
ゆきお「別にそんなのなかったんだ。ただ、俺は先輩に金もっていかなきゃってそれしか頭になかったんだ。」

他の参加者も、ゆきお君がお財布をどこに捨てたのか、裁判所でどのような処分を受けたのかなどを質問しました。

6.今後の事を話し合う

参加者の質問が終わったころ、山田さんは切り出しました。

山田「まもる君の被害回復やゆきお君の立ち直りのために何をすべきか話し合いましょう。」
ゆきお「お金は働いて返します。お給料から少しずつになるけど・・・」
まもる「これからも先輩とつきあうの?」
ゆきお「ううん、もうつきあわない。」

被害弁償などの約束ができました。
山田さんは、話し合いで決まったことを合意文書にまとめ、読み上げました。そして、最後にお互いに合意文書にサインをし、挨拶をして対話の会は終了しました。

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